今年二倍になったのは企業の利益ではなく、利益の見通しだった
S&P 500 earnings are now expected to surge 32% in 2026, more than double the 15% growth expected at the start of the year.
We’ve never seen earnings growth this strong outside of post-recession rebounds.
This time, there was no recession. Just an unprecedented AI-driven boom.
今年、S&P500企業が稼ぐと見込まれる利益は、年初に市場が考えていた倍の速さで増えている。 ファクトセットが8月7日に出した集計で、2026年の利益成長率の見通しは30.0%だ。 同じ機関が2025年12月19日に出していた見通しは15.0%だった。 ここでいう見通しはボトムアップ・コンセンサス、つまりアナリストが銘柄ごとに出した利益予想を指数全体で足し上げた値である。 銘柄ごとの予想が上がれば、この値も一緒に上がる。
S&P500決算シーズン・アップデート(ファクトセット・アーニングスインサイト、2026-08-07)半年で二倍になったのは企業が稼いだ金ではなく、その金を前もって測る目盛りのほうだ。実績が予想を超え続けなければ、目盛りはここまで動かない。
ファクトセット・アーニングスインサイト 2025-12-19・2026-08-07、2026-08-11閲覧
チャーリー・ビレロはこの上方修正を32%と書いた。 ファクトセットが8月7日に公開した30.0%より高い数字で、どの集計を見たのかは書いていない。 8月11日時点で公開資料から確認できるのはファクトセットの数字までだ。
景気後退なしにこんな年があったか
ビレロの主張は、この規模の利益増加は景気後退後の反発でしか出ていない、というものだ。 年間の利益成長率の記録を並べると、この前提はデータと合う。
30%を超えた年はいずれも、前の年に利益が崩れた後だ。底が低いから大きく見える数字で、今年とは性質が違うという著者の前提はデータに支えられている。
multpl.com S&P500年間利益成長率(シラー系列の報告利益ベース)・2026-08-11閲覧
ただしこの記録は会計基準どおりの報告利益を使い、ファクトセットの30.0%は一時的な項目を除いた営業利益を使う。 同じ物差しで測った数字ではないので、順位づけよりも方向を見るのに使うほうがよい。 利益を実際に増やした場所が広くないことも並べておく必要がある。 ベンジンガは8月10日、4〜6月期の利益成長率50.4%からアルファベットとアマゾンの2社を除くと32.0%まで下がると伝えた。
S&P500の利益、2021年以来の高い伸びを記録(ベンジンガ、2026-08-10)ファクトセットが見る2027年は13.6%だ
同じ8月7日の集計で、2027年の利益成長率の見通しは13.6%である。 今年の見通しが半年で二倍になる間、来年の見通しはその場にとどまっていた。 市場は今の急増を、上り続ける坂ではなく一年限りの段差とみているということだ。 だから分かれ目は30%という数字の大きさではなく、それが確定値として残るかどうかにある。 2027年2月に出る2026年の確定成長率が今の見通しを超えれば、年初の15%を二倍に引き上げた修正は実績に裏づけられたことになり、その線に届かなければ、8月の見通しが天井だったという記録だけが残る。 見通しはアナリストが書き直す数字であり、確定値は企業が稼いだ数字である。 今、指数につけられている値段は、前者の上に立っている。
- ファクトセットが見る2026年のS&P500利益成長率の見通しが、年初の15.0%から8月7日には30.0%へ上がった。
- ビレロは、景気後退後の反発ではない局面でこれほどの利益成長が出たことはない、と読む。
- 同じ集計の2027年の見通しは13.6%だ。市場はこの急増を一年限りの段差とみている。
採点予定採点待ち
出典
- 原文 チャーリー・ビレロ (@charliebilello) · 2026-08-11
- ファクトセット・アーニングスインサイト 2026年の利益成長率見通し30.0%・2027年13.6%・2026-08-07
- ファクトセット2026年見通し 年初の見通し15.0%・2025-12-19
- 年間利益成長率の記録 multpl.com・2009年+242.5%、2010年+51.8%、2021年+110.2%・2026-08-11閲覧
- ベンジンガ 4〜6月期の利益成長率50.4%、アルファベットとアマゾンを除くと32.0%・2026-08-10
2026-08-11閲覧。利益成長率はファクトセットのボトムアップ・コンセンサス(営業利益ベース)で、過去の記録はシラー系列の報告利益ベースのため、二つの系列は物差しが異なる。