CXMTの歩留まり90%という数字は、誰が数えたのか
According to Chinese media reports, CXMT’s 17nm DDR5 yield has already exceeded 90%.
CXMT products are currently available in relatively large volumes in the spot market in South China, allowing brands to procure chips based on their specific pricing and specification…
中国の長鑫存儲(CXMT)の17nm DDR5の歩留まりが90%を超えた、という話が出てきた。 会社の発表ではなく、中国メディアの報道を伝えたものだ。

歩留まりは、ウエハー1枚から使えるチップが何個取れるかを指す。 その線を超えたという言葉は、10個のうち9個が売り物として出てくるという意味で、そこまで来れば値を下げても利益が残る。 DRAMにおいて歩留まりは原価そのものだ。
数字をたどるとどこで止まるか
この数値の出どころをさかのぼると、8月10日の中国メディア快科技の記事1本で止まる。 記事は調査機関の資料も会社発表も引かず、資料が示すとだけ書いており、それが新浪やネットイースに転載された。 トレンドフォースやセミアナリシスのようにDRAM生産を別途集計する先が同じ数値を確認した例はまだない。 元の投稿が中国メディアの報道によればという言葉で始まる理由でもある。
歩留まりの数値は未確認だが、この会社が増やしている数量自体は別の集計に表れている。価格がこの水準まで来た区間では、新しい供給者が入る余地が生まれる。
現物価格はトレンドフォース2026-08-11時点 · シェアはセミアナリシス2026-06-23
デルをめぐって取材が割れる
デルはCXMTチップの使用を全面禁止し、HPは中国本土向け製品にのみ認めている。
デルとHPがそろってCXMT DRAMの適格審査を進めていると、トムズハードウェアが伝えた。
同じ会社について、半年のあいだに逆向きの話が出たことになる。 両方とも事実でありうる。適格審査を進めた末にやめたのなら、二つの報道は順番どおりに整合する。
PCメーカーが中国製メモリの採用を検討、HPとデルはCXMT DRAMを適格審査 (トムズハードウェア、2026-02-05)この記事は2月時点で、デルがCXMTを排除したのではなく審査の対象に置いていたと伝えている。
HP・エイスース・エイサーがCXMT DRAMの限定的な使用を開始と伝えられる (トレンドフォース、2026-08-04)1週間前にトレンドフォースが確認したのは3社の限定的な採用までで、デルはこの集計に出てこない。 禁止にせよ審査の中断にせよ、会社が明らかにしたものはない。
快科技の数字が価格に届く場所
採用が伸びない理由として原文が挙げたのは、価格でも品質でもなく、世界3大メモリメーカーの反発を招きうるという懸念だ。 ノートPC1機種のチップをどこから買うかが、その会社とサムスン、SKハイニックス、マイクロンとの関係全体に関わるという意味になる。 だからその数値が事実と確認されても、価格がすぐに動くわけではない。 分かれ目はここだ。 デルやHPの世界販売モデルの仕様表にCXMTチップが載れば、今回の禁止の伝聞は崩れ、価格競争が始まったことが確認される。 年末になっても中国本土と新興市場向けモデルにとどまるなら、反発への懸念という制約のほうが歩留まりより強い、ということになる。
- 中国製DRAMが原価競争の圏内に入った根拠として、歩留まり90%が引用されている。
- 数字どおりなら値を下げても利益が残る水準で、メモリ3社の価格決定力が揺らぐという話になる。
- ところがこの数値を最初に書いたのは中国メディア1社で、その記事も出どころを明かしていない。
出典
- 原文 Jukan(@jukan05) · 2026-08-11
- 歩留まり数値の一次報道 快科技 · 2026-08-10(中国語)
- デル・HPの適格審査報道 トムズハードウェア · 2026-02-05
- 限定採用の集計 トレンドフォース · 2026-08-04
- 現物価格 トレンドフォースのDRAM現物ページ · 2026-08-11時点
- ウエハー投入シェア セミアナリシス · 2026-06-23
2026-08-11時点 · 現物価格は同日のセッション平均、ウエハー投入シェアはセミアナリシスの推計。
この筆者の記録
- 強気8月1〜11日に韓国が売ったDRAMモジュールは、7月の1か月分の4%だった
- 強気8月5日、長鑫存儲がアップルの値下げ要求を拒んだ
- 強気SKハイニックスが88億ドルで買った事業に、いま350億ドルの値札が付いた