870억달러
Steve Hanke (@steve_hanke) · 2026-08-12 · 原文: EN

円買い介入の870億ドルは、日本が発表した数字ではない

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Steve Hanke@steve_hanke

#JapanWatch🇯🇵: Last week, Japan and the US spent ~$87B on their first joint yen intervention since 1998.

The yen initially appreciated, but has given back half its gains.

JUST WHAT I THOUGHT WOULD HAPPEN: THE JOINT INTERVENTION GAVE THE YEN LITTLE MORE THAN A DEAD CAT BOUNCE.

円を支えるために使われたとされる870億ドルは、日本政府が発表した数字ではない。 日本銀行の当座預金残高の動きから民間のアナリストが逆算した推計である。

介入があったこと自体は確認されている。 7月30日と31日の二日間、日本と米国がそろって円を買い、8月3日に両国の財務当局がこれを公式に認めた。 二国が並んで円を買ったのは1998年以来である。

財務省はまだ何の数字も出していない

日本の財務省は外国為替平衡操作の金額を月に一度、幅として公表し、日付ごとの正確な金額はそれより遅い四半期の公表に載せる。 いま出ている最新の資料は6月29日から7月29日までを扱ったもので、7月31日に出た。 今回の介入はその窓が閉じた翌日に始まっている。次の公表は9月1日前後になる。 だからこの金額は、いまのところ確かめようのない数字だ。 同じ二日間について別の推計もある。ある推計は木曜日だけで約590億ドルとし、別の推計は日本が約750億ドル、米国が50億から100億ドルとする。 推計どうしが100億ドル近く離れているということだ。

上がった幅の半分が戻った

介入の直前、円は1ドル163円から164円と40年ぶりの安値にあった。 介入のあと8月初めには155.20円まで円が上がった。 8月11日には159.25円である。8.8円上がって4.05円を返したので、上げ幅の46%が消えた。

  • 7月30~31日

    日米が二日間にわたり円を買う

  • 8月3日

    両国が共同介入を公式に確認、円は155.20円へ

  • 8月11日

    159.25円、上げ幅の約46%を返上

  • 9月1日前後

    財務省が8月分の介入額の幅を公表

  • 9月17~18日

    日本銀行 金融政策決定会合

市場が待っているのは、介入額の確認と金利の決定の二つだ。

財務省 外国為替平衡操作の実施状況、日本銀行 会合日程

1998年の介入は成功したのか

1998年6月17日の共同介入で米国側が使った額は8億3,300万ドルだった。 円は1ドル146.67円から136.51円まで上がった。 ところが二か月後の8月には147円から148円に戻っていた。 流れが実際に折れたのはその年の10月である。 ロシア危機と大型ヘッジファンドの破綻で、円を借りて他の資産を買う取引が一度に解けたからだ。 介入が向きを変えたのではなく、借りる条件が変わったあとで向きが変わった。

同じことが2022年と2024年にも繰り返された。 2022年10月に日本は単独で6兆3,500億円を使ったが円はその後150円を超え、2024年4月から5月の9兆7,900億円も二か月で戻された。 2024年に向きが変わったのは、日本銀行が7月末に金利を上げたあとだ。

9月18日の日銀会合が決めること

だから今回の介入が成功したかを問うより、何が成功をつくるのかを見るほうがよい。 いま米国の政策金利は3%台後半、日本は1%である。 10年国債の利回りで見れば米国が4.7%、日本が2.8%だ。

米国 10年国債利回り4.7%
日本 10年国債利回り2.8%
×1.7

日本で借りた金を米国債に置けば、まだこれだけ開いている。介入はこの差に手が届かない。

2026-08-11閲覧・米10年はFRED DGS10、日本10年は市場終値ベース

この差が残るかぎり円を借りて別の通貨で回すほうが有利で、市場で円を買ってもその誘因は消えない。 この二日間にいくら使ったかは9月1日前後に、その金が意味を持つかは9月18日に分かれる。 日本銀行が政策金利を1%より上へ引き上げれば、円を支える役目は介入から金利へ移る。据え置けば、円の向きはふたたび米国の金利と財務省の次の買いに委ねられる。

3行まとめ
  • 日本と米国が7月30日と31日にそろって円を買い、その規模が約870億ドルだったという数字が出回っている。
  • 表向きは、過去最大級の介入が十日で効果の半分を失った図だ。
  • だがその数字は財務省が発表したものではなく日銀の口座残高から逆算した推計であり、公式の金額が出るのは9月1日前後である。

採点予定採点待ち

指標
日本銀行の政策金利(9月17~18日の金融政策決定会合の結果)
現在
1%・2026年6月16日に引き上げ、7月31日の会合で据え置き
採点日
2026年9月18日
的中
政策金利が1%より高くなる → 円を支える役目が介入から金利へ移る
外れ
政策金利が1%以下に据え置かれる → 円の向きは再び介入と米国の金利に委ねられる

出典

  1. 原文 Steve Hanke (@steve_hanke) · 2026-08-12
  2. 一次資料・外国為替平衡操作の実施状況 日本 財務省・最新の公表は2026-06-29~07-29分で2026-07-31に公表。8月分は9月1日前後の予定
  3. 共同介入の確認報道 アルジャジーラ・2026-08-03・円は155.20円に到達
  4. 1998年の共同介入の記録 ニューヨーク連銀 外国為替操作 四半期報告 1998年第2四半期・米国側8億3,300万ドル
  5. 介入規模の推計の出どころ 日本銀行の当座預金残高の予測と実績の差を用いた民間の推計。木曜日が約530億ドル、金曜日が約340億ドルで合計およそ870億ドル。別の推計では木曜日だけで約590億ドル、あるいは日本が約750億ドルで米国が50億~100億ドルとする。いずれも公式の数値ではない。

2026-08-12閲覧。為替は2026-08-11時点、10年国債の利回りは2026-08-11時点である。介入額の870億ドルは公式の数値ではなく推計であり、財務省の公式公表は9月1日前後の予定だ。

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