50%
Jukan (@jukan05) · 2026-08-11 · 原文: EN

米国が締めた大連工場を、SKハイニックスがいま建て直す理由は何だろう

J
Jukan@jukan05

Exclusive: SK hynix to Increase NAND Production in China by 50%

SK hynix is resuming construction of its second NAND flash plant in Dalian, China, expanding its local production capacity by approximately 50%. Construction of the Dalian Fab 2 began four years ago but was…

SKハイニックスが、中国・大連で建てかけのまま止めていたNAND第2工場の建設を再開した。 4年間は骨組みだけの状態で、完成すれば同社の中国内の生産能力はおよそ5割増える。 装備は早ければ11月から搬入され、量産の目標は2027年上半期だ。

同じ動きは7月に一度伝えられている。 そのとき記された第2工場の月間ウェハー投入目標は3万〜5万枚で、今回伝わった5万枚はその上限にあたる。 ただしその報道は大連に238層ラインが入ると書き、今回の報道は大連が100層級を担うと言う。二つの話はまだ噛み合っていない。

大連はなぜ低い積層を担うのか

ここで引っかかることが一つある。 米国は昨年、この工場を許可免除の名簿から消した。 検証済み最終需要者(VEU)は、米国が指定した中国内の工場に限って、米国産の装備と技術を1件ずつ許可を取らずに送れるようにした制度だ。 平たく言えば通行証である。 通行証があれば、装置を1台動かすたびにワシントンに尋ねなくてよい。 米商務省は2025年9月2日にこの通行証を取り上げると官報に載せ、12月31日から効力が生じた。 名簿には三星の中国法人、SKハイニックスの中国法人と並んで「インテル半導体(大連)」が記されている。 最後の名前が、SKハイニックスがインテルから引き継いだまさにその大連工場だ。

  • 2021年12月

    SKハイニックスがインテルのNAND事業を買い、大連第1工場を引き継いだ

  • 2022年5月

    大連第2工場が着工、メモリ不況で骨組みだけ残して止まった

  • 2025年9月2日

    米国が大連工場を含む3か所のVEU資格取り消しを官報に載せた

  • 2025年12月31日

    取り消しが発効し、米国産の装備は1件ずつ許可を要する対象になった

  • 2027年上半期

    大連第2工場の量産目標

装備を自由に入れられた時代に止まった工場を、1件ずつ許可を要する時代に建て直している。

米連邦官報 2025-09-02(文書番号2025-16735) · 2026-08-11閲覧

192層と286層

USBメモリの中に入っている記憶用の半導体がNANDだ。電源を切っても中身が消えないので、データセンターはこれを大量に積み上げる。
USBメモリの中に入っている記憶用の半導体がNANDだ。電源を切っても中身が消えないので、データセンターはこれを大量に積み上げる。 · Nrbelex · CC BY-SA 3.0

大連が作るものはすでに決まっている。 フローティングゲートはインテルが使っていたNANDの記憶方式で、電荷を閉じ込める島をセルごとに持たせる構造だ。 仕切りが丈夫で隣に漏れないが、層を高く積むことでは後れを取った。

ソリダイムのフローティングゲートNAND192層
主要メモリ各社のCTF NAND276〜286層
NANDウェハー価格(2026年1〜3月、前年同期比)+246%

大連が担うのは先を行く積層ではなく、後れた積層のほうだ。その後れた品にも値がついたことが今回の再開の背景にある。

Tom's Hardware 2026-06-26 ソリダイム副社長インタビュー · キングストンの発言(NAND Research、2026-02-28) · 2026-08-11閲覧

このインタビューでソリダイム側は、セルの仕切りが丈夫だからQLCを押し続けられると説明した。 同じ場で、自社のNANDはまだ192層で、次の世代は下半期に来るとも述べている。 原文が大連に100層級を任せると書いた箇所は、ここから読めるとおりだ。1件ずつ許可を要する工場に先端ラインを賭けるのは難しい。 また原文は、NAND価格が1年前の10倍近くまで跳ね上がったと書いた。 確認できたのはそこまでではない。キングストンが示したNANDウェハー価格の上昇幅は2026年1〜3月時点で前年同期比246%、3.5倍ほどだ。

2027年上半期に見えるもの

残る問いは、大連がまた回るかどうかではない。 1件ずつ許可を要する工場がどこまで上がれるか、である。 装備の搬入が11月に始まり2027年上半期に量産がかかれば、低い積層のNANDは許可体制の中でも回るということだ。 搬入か量産の時期が後ろにずれるなら、詰まったのは金ではなく許可のほうだ。 清州M17には19兆1,000億ウォンを入れ2028年12月に最初のクリーンルームを開く日程が並んでいるので、二つの工場の時間表がどれだけ開くかがその答えを代わりに語る。

3行まとめ
  • SKハイニックスが、4年間も骨組みのまま止まっていた中国・大連の第2工場の建設を再開した。
  • NAND価格が跳ね上がったので遊んでいた工場を動かす、という話に読める。
  • だがこの工場は、昨年12月31日に米国の装備許可免除リストから名前が消された、まさにその工場だ。

採点予定採点待ち

指標
大連第2工場のNAND量産開始時期
現在
月間ウェハー投入0枚。骨組みのみ完成、装備搬入は11月予定
採点日
2027年6月末
的中
2027年6月30日までに大連第2工場のNAND量産開始が確認されれば的中
外れ
2027年6月30日までに量産開始が確認されなければ外れ

出典

  1. 原文 Jukan(@jukan05) · 2026-08-11
  2. TrendForce 大連第2工場の増設再開の報道 · 2026-07-10
  3. 米連邦官報 中国におけるVEU資格の取り消し · 2025-09-02掲載、2025-12-31発効
  4. Tom's Hardware ソリダイム副社長インタビュー、フローティングゲート192層 · 2026-06-26
  5. NAND Research キングストン幹部の発言、NANDウェハー価格が前年比246% · 2026-02-28
  6. SKハイニックス ニュースルーム 清州M17に19兆1,000億ウォン、2028年12月に最初のクリーンルーム · 2026-08-07

2026-08-11閲覧 · 積層数とNANDウェハー価格は各報道時点の基準であり、その後は更新されていない。

この筆者の記録

89記事39方向性コール32強気7弱気3的中1外れ
記録をすべて見る →
要約・解説はStacksの著作物です。元記事の著作権は原著者に帰属し、各項目は出典を明記して原文にリンクしています。投資助言ではなく、投資判断とその責任は利用者本人にあります。
Stacks ホーム · 記事一覧 · Stacksについて · RSS