トランプは米国経済がかつてないほど好調だと言うが、クレジットカードの深刻な延滞率は2008年金融危機の直後以来もっとも高い水準にある。
これは米国人が請求書の支払いに苦しんでいるということであり、良い時期ではなく悪い時期と符合する。
米国のクレジットカード債務のうち、90日を超えて滞っている金額の比率は2026年第1四半期に7.1%だった。 5四半期のあいだ7%台前半でほとんど動いておらず、直近のピークだった2024年第4四半期の7.2%より低い。
水準で見ればシフの言うとおりだ。金融危機の直後を除けば、これほど高かったことはない。ただし向きは違う。5四半期そのままで、1年半前より低い。いま悪化しているという読みを、この数字は支えていない。
2026-08-04照会 · ニューヨーク連邦準備銀行「家計債務・信用レポート」2026年第1四半期(2026-05-12公表)
延滞は金融危機の直後以来もっとも高い。米国人が請求書を払えていないということで、好況という話と食い違う。
水準は高いが5四半期そこに止まっている。悪化の途中ではなく、高い場所での踊り場だ。
同じ7%でも、高さを見るか傾きを見るかで結論が分かれる。
同じ四半期について別々の数字が出回っている。 TransUnionは2026年第1四半期のカード90日以上延滞率を2.5%と集計した。ニューヨーク連銀の数字とは3倍近い開きがある。 どちらも正しい。数える単位が違う。 ニューヨーク連銀は滞っている金額がカード残高全体に占める比率を見る。TransUnionは滞っている人がカード利用者全体に占める比率を見る。 延滞する人はおおむね残高が大きいので、金額で数えると比率はずっと大きくなる。どちらの数字を持ち出したのかを確かめないと、同じ四半期について正反対のことが言える。
米国の消費者信用市場がK字に分かれつつある (TransUnion, 2026-04-30)TransUnionが指しているのは平均ではなく分かれ方だ。 信用力が最も高いスーパープライム層の比率は2025年第4四半期に40.7%まで増えた。2019年第4四半期より3.8ポイント高い。 反対側では低信用の層が増え、真ん中が薄くなっている。 全体の延滞率が止まって見えるのは、上が良くなった分だけ下が悪くなって相殺されているからかもしれない。 平均の一行ではこの動きが見えない。シフの文も、それに平均だけで答える反論も、同じ死角を抱える。 カード残高そのものは1兆2,520億ドルだ。四半期では250億ドル減り、1年前より700億ドル増えた。 比率の分母が膨らみ続けているということでもある。
次の数字がこの論争を片づける。 ニューヨーク連銀は四半期ごとに同じレポートを出す。第2四半期の資料は8月中に出る。 7.5%を超えれば5四半期の横ばいが終わり、向きはシフのものになる。7.5%に届かなければ、高い場所での踊り場が続いたということだ。 どちらであれ、水準そのものが2011年以降でもっとも高い区間だという事実は変わらない。悪化しているのかと、すでに悪いのかは別の問いで、いまのデータが答えているのは後ろのほうだ。
2026-08-04時点。ニューヨーク連銀の数値は2026年第1四半期まで、TransUnionの信用階層の比率は2025年第4四半期基準。