前の記事で触れたFIMA(海外・国際通貨当局)のレポ窓口を活用するという話が、公式に言及されたということだ。
FIMAレポは連銀のバランスシートを増やす装置だ。
バランスシートを一時的に上げることなので、ウォーシュが特段の抵抗なくFIMA上限の拡大を進める可能性もある。
米財務長官が連邦準備制度に向けて、ある窓口を大きくしようと公に述べた。 外国の中央銀行が自ら保有する米国債を担保に預け、ドルを借りるFIMAレポ窓口だ。
ロイターは、スコット・ベッセント長官が8月2日にXへ投稿した文をそのまま伝えた。 「FIMAレポ窓口は重要な安全弁であり、今後数カ月のうちに規模を拡大することを勧める」という一文が入っている。 同じ投稿で、追加の共同介入にもためらわないと述べた。 借りる側ではなく、貸す側が先に上限を上げようと言ったことになる。
円を強くするにはドルを売って円を買う必要がある。 問題は、そのドルをどこから調達するかだ。 日本がこれまで使ってきた方法は、保有する米国債を市場で売ることだった。 国債を売れば価格が下がり、下がった分だけ利回りは上がる。 ワシントンが最も気にする数字が、その長期金利だ。 7月31日の共同介入は、その方法を使わなかった。 米財務省は為替安定基金に入っていたユーロを売って円を買い、米国債は市場に出なかった。
日本と米国、円を支えるための異例の共同介入を確認 (アルジャジーラ, 2026-08-03)アルジャジーラによれば、日本の財務省は「最近の円の過度な変動と無秩序な動きに対応した」として介入を公式に認め、追加の共同介入にもためらわないと付け加えた。 介入のあと円は1ドル155円台まで戻し、およそ3カ月ぶりの水準になった。 日本が今後FIMA窓口も使うと明らかにしたという部分は原文の投稿が伝えたもので、英語圏の報道ではまだ確認されていない。
預けられる担保は上限の19倍だ。窓口を広げようという話が出た場所がここになる。
2026-08-04 取得 · 上限は米連邦準備制度2021-07-28発表 · 日本の保有額は米財務省TIC 5月末時点、ロイター引用報道
担保に使う国債は余っている。 実際に窓口から借りられる金額は、その担保の5%を少し超える線で切られている。 アルジャジーラは、今回の介入で東京が590億ドルほどを使った可能性があると伝えた。 その推計が正しければ、一度の介入で窓口ひとつをほぼ空にする規模だ。
常設FIMAレポ・ファシリティ導入の発表 (米連邦準備制度, 2021-07-28)FIMAレポ窓口は2020年3月に臨時で開かれ、2021年7月に常設の窓口になった。 連銀がそのとき公表した条件に、1カ国あたり600億ドルという上限が書かれている。 この条件を変えるには連邦公開市場委員会の承認が必要だ。 財務長官がいくら勧めても、決めるのは中央銀行の中だ。 ここで引っかかるものがひとつある。 FIMAレポは連銀のバランスシートを膨らませる装置だ。 日本が国債を預けてドルを借りれば、連銀の資産にその国債が、負債に新しく発行したドルが同時に載る。 ケビン・ウォーシュ議長は、そのバランスシートを縮めることを最優先に掲げてきた人物だ。 ただし貸したドルが戻れば同じだけ縮む一時的な膨張なので、抵抗はそれほど大きくないかもしれないという見方もある。
いま分かれ目になるのは、日本に弾が残っているかではなく、連銀が上限を開けるかどうかだ。 上限が上がれば日本は国債を売らずに介入を続けられ、円防衛の上限は日本の準備金ではなくワシントンの承認が決める。 上限がそのままなら介入は再び国債を売る方式に戻り、米国の長期金利がその代金を払う。 円を守ることが二国の共同事業になった以上、これからの円の方向を読むのに東京だけを見ていては足りない。
2026-08-04 取得 · FIMA上限は2021-07-28の連銀発表基準 · 円相場は2026-08-03のアルジャジーラ報道基準