1980Diを分解して複製できず、旧型モデルである1950iを作った水準ということだ。
国産化率70%を達成したというが、これを裏返せば30%の主要部品を輸入してこないと製作できないという意味でもある。
1980Diを分解して再組み立てに失敗し、ASMLに修理を要請したのが2025年10月だ。
中国が作ったという液浸露光装置は、ASMLが2008年に出したNXT:1950iと同じ級だ。 28ナノの回路を一度で刻む水準で、その上の世代である2015年モデルの1980Diはまだ作れていない。 7月27日、上海の国家支援企業がこの装置の量産を始めたと報じられると、ASML株は5.7%下げ、場中には7%まで下落した。
中国、国産の液浸露光装置の量産を開始。今年SMIC・華虹・CXMTへ初納入 (Tom's Hardware, 2026-07-27)Tom's Hardwareは、この装置が一度の露光で28ナノ級の回路を刻み、露光を何度も重ねる方式なら7ナノ級まで届くと伝えた。 納入は今年が5台前後、来年も20台ほどだ。
露光装置はウェハーの上に回路を光で刻む機械だ。 半導体を作る全体の時間の60%、費用の35%がこの一工程で出ていく。 まず光を作る側から見ると、科益虹源が国産化した光源は6kHzで60Wだ。 同じ周波数で90Wを出すASML製には届かない。 レンズは茅莱光学が300mmの大口径で検証を通ったという。 ただ精度が30ナノ級で、10ナノ未満のドイツ・ツァイスのレンズを結局は輸入して使ったと伝えられた。
中国のDUV、ASMLに4世代遅れている (Asia Times, 2026-07-31)Asia Timesは、この装置の名がSSA800で、2023年に設立された上海愛昇娜電子技術グループが宇量昇とSMEEの開発人材を吸収して作ったと伝えた。 部品の70%を国産で埋めたが、193ナノのエキシマレーザー用ミラー、ツァイスのレンズ、真空チャンバー、同期制御アルゴリズムは今も輸入だ。 国産化率70%を裏返せば、30%は外から買ってこないと作れないという意味になる。
ファーウェイはすでにその上の世代を手にしていた。 武漢のHSMCが7ナノ工場を建てるとしてASMLの1980Diを入れたまま倒産し、中国政府がこの会社を買い取ってファーウェイに渡した。 2025年10月、中国はその装置の修理をASMLに求めた。 現場に行った技師が見たのは、分解されたまま組み立てに失敗した状態だったという。 ここでキャリブレーションが立ちはだかる。 レンズと鏡、ウェハーの台の位置をナノメートル単位で合わせた精密設定で、工場で数百の基準点を取りながら数週間かけて合わせたものだ。 開けた瞬間にこの整列が狂い、戻すためのソフトウェアキーはASMLだけが持っている。 完成品を手に入れても、中を覗いた瞬間に使えなくなる構造だ。
中国が急いだ理由は時間だ。 EUVは2019年から止まり、2023年末にはNXT:2000i以上、2024年9月には1970iと1980iまで輸出が止まった。 規制の直前に1980iを90台買いだめしたが、性能を1%超引き上げる保守まで禁じられ、維持が難しくなった。
中国が国産装置で取り戻そうとする市場は、すでにASMLの売上の6分の1ほどまで縮んでいる。輸出規制が先に切り落とした分なので、国産化が成功してもASMLが新たに失う分はその分だけ小さい。著者の「まだ遠い」と同じ向きを指す数字だ。
2026-08-03取得 · 売上高と純利益はASMLの2026年4-6月期決算発表、中国比率はTech Wire Asia報道の引用
結局、問いは一つだ。 今回の量産がASMLの堀に入った最初の亀裂なのか、規制が作った一時の迂回路なのか。 見分ける点は世代だ。 装置が1950i級にとどまる間は迂回路だ。 2015年モデルの1980Di級を国産部品だけで出した瞬間に亀裂になる。 ASMLは28ナノから7ナノに進むのに7年かかった。 同じ道を国産の光源と国産のレンズで歩き直す側に、それより短い時間が与えられる理由は見えない。 露光装置は半導体のサプライチェーンで代替のない唯一の席であり、その席を誰が握るかが輸出規制のてこを作る。 今回の装置が2008年モデル級だという事実は、そのてこがまだ生きているという意味だ。
採点待ち2027年末に採点する。国産液浸露光装置の納入が報じられた20台ほどにとどまり世代も1950i級のままなら著者の判断が当たり、1980Di級の装置が国産部品で出れば外れたと見る。