バンク・オブ・アメリカのサイモン・ウー: サムスンの長期供給契約は供給者に有利な条件で組まれており、値段の下落には上限が掛かる一方、上昇には概ね上限がない。
例えば前四半期比の下落は5%未満に制限される一方、10~20%以上の上昇は許される。
サムスン電子が結んだメモリーの長期供給契約は、値段が下がるときだけ塞がれている。 四半期の下落は5%未満に制限され、上昇は10~20%を超えて受け取ってよい条件だ。
TrendForceは、サムスンがこの条件で固める数量がメモリー生産能力の60~70%だと伝えた。 会社が4-6月期の決算説明会で示した数字と同じだ。 生産能力の3分の2に下落の防衛線が敷かれ、その数量の上昇余地は開いているということになる。

長期供給契約は、供給者と顧客が数年分の数量と値段の範囲を前もって約束する契約だ。 普通は双方が何かを譲る。 値段が下がっても供給者は一定の線より下では受け取らず、値段が上がっても顧客は一定の線より上は払わない。 床と天井を一緒に置く構造だ。 サムスンの条件が変わっているのはここだ。 床はあるのに天井が事実上ない。
同じ時期に同じ種類の契約を大量に結んだ会社がもう一社ある。
マイクロン2026会計3Q決算、1,000億ドルの長期契約がメモリー循環を断つ兆し (TechTimes, 2026-06-25)マイクロンは16件の5年契約で、下限とともに上限も置いた。上限を2026年4-6月期の市場価格の水準に合わせ、売上の約40%が固定価格か上限価格で出ていく。値段がここから上がっても、その40%は4-6月期の水準に留められるという意味だ。同じ長期契約でもサムスンの条件とは向きが逆だ。
2026-08-03取得 · マイクロン2026会計年度第3四半期決算発表の報道を引用
マイクロンの契約はDRAM数量の約20%、NAND数量の3分の1を覆う。 下限は、過去のどの好況期よりも高い売上総利益率を保証するように置かれた。 値段が崩れても利益が残る構造を買った代わりに、もっと上がったときに受け取る分を一部手放したのだ。
数年分の値段を先に決めれば好況が来てもその値段しか受け取れない。循環をなくす代わりに頂点の利益を削る取引だ。
下落だけを四半期5%未満で塞ぎ上昇を開けているなら、削られるのは頂点ではなく底のほうだ。
同じ名前の契約なのに、どこに線を引くかが違う。 懐疑論が狙っているのは天井で、サムスンが引いたのは床だ。
買う側に急ぎなのは値段ではなく数量だからだ。 新しい工場を建ててウェハーが出るまで3年半以上かかり、会社は2027年の不足が今年より厳しいとみている。 データセンターを建てる側にとって、数%高く買うことより買えないことのほうがはるかに高くつく。 値段ではなく順番を買う契約というわけだ。
結局、問いは一つだ。 この非対称がサムスンが交渉で勝ち取ったものなのか、今の需給がそうさせたものなのか。 見分ける点は次の契約だ。 供給が緩み始めた後に新たに結ぶ契約や更新にも下落5%の上限が残っていれば交渉力が作ったもので、そのとき天井も一緒に付けば今回の条件は品薄が作ったものになる。 メモリーで値段が上がるという知らせは、常に数年後の供給過剰の予告でもあった。 今回はその下降局面で利益がどれだけ減らずに済むかが契約の値打ちを決める。 下落上限5%はその答えを先に書いておいた数字であり、それが守られるかは値段が折れた後にしか確かめられない。
採点待ちメモリーのスポット価格が四半期ベースで初めて下落する四半期に採点する。サムスン電子のメモリー平均販売単価の下落幅がスポットの下落幅より明確に小さければ下落5%の上限が実際に働いたとし、同程度に下がれば働かなかったとみる。