速報: スペースX($SPCX)がエヌビディア($NVDA)との新たな提携を発表した。データセンター級の演算を軌道へ運ぶスターマインドAI-1ペイロードを共同で設計する。
この提携ではエヌビディアのRubin GPUとVera CPUが使われ、スペースX衛星のピーク演算電力は250キロワットに引き上げられる。
スペースXがエヌビディアと組み、人工衛星に載せる演算装置を設計することになった。 衛星の名はスターマインドAI1で、中に入るのはエヌビディアのRubin GPUとVera CPUだ。 発表で最初に出た数字は性能ではなかった。 衛星一基が引き出せる最大電力、250キロワットである。
Notebookcheckが7月11日にまとめたこの衛星の仕様では、電力は平均120キロワット、最大150キロワットだった。 三週間でピークが67%上がったことになる。
スペースXが公開したAI1衛星の冷却仕様 (Notebookcheck, 2026-07-11)数字が上がったのは、中に入れる物が決まったからだ。 エヌビディアがRubin世代で売るラックは、GPUを72枚ひとかたまりにまとめた物だ。 その一かたまりを軌道で回すと決めた時点で、衛星が用意すべき電力もそこに合わせられた。 演算を先に決めて電力を後から合わせるのではなく、電力が運べる分だけ演算が上がる。

地上のデータセンターは空気や水に熱を移して外に捨てる。 真空には移す先の空気がないので、熱を捨てる道は光として放つことだけになる。 そのためこの衛星には、液体を回して熱を薄く広げるラジエーターが110平方メートル付く。 電気を作る太陽電池パネルまで加えると、翼幅70メートル、高さ20メートルになる。 平たく言えば、扇ぐ空気そのものがない部屋でサーバーを動かす話であり、熱を逃がす板を機体と同じ大きさで持たねばならない。 その図体を使い切って、衛星一基が担う演算は地上のサーバーラック一台ほどだ。 スペースXが米連邦通信委員会に出した申請書に最大100万基という数字が並ぶ理由がここにある。
軌道に演算を上げる仕事は、まだ稼ぐ段階ではなく敷く段階だ。発表が一つ増えるたび、この差は先に開く。
Yahoo Finance(2026-08-04)· スペースX 2026年4-6月期決算
上場後はじめて出した決算では、売上高は市場予想を上回ったのに株価は下げた。 AI部門の設備投資が1-3月期の77億ドルから158億ドルへ、一四半期で二倍になったからだ。
この会社がいま売っているのは打ち上げと通信で、買っているのは軌道上のデータセンターだ。 発表のたびに市場が株価を削るのは事業が悪いからではなく、その差がいつ縮むのかがまだ見えないからである。
スペースXは試験衛星を2027年初め、量産をその年の後半に置いている。 試験機が軌道に上がって実際に推論を回せば、電力と熱という二つの壁は少なくとも一基の規模では越えたことになる。 打ち上げがずれるか、電力と冷却の仕様が再び下がれば、壁はチップではなくその二つのまま残っている。 軌道にデータセンターを上げるとは、電気と熱の問題を地球の外へ移すということだ。 移した先でその問題が楽になるかどうかは、まだ誰も見せていない。
2026-08-04 調査 · 決算数値はスペースXが公表した2026年4-6月期に基づき、衛星仕様は7月11日時点の公開仕様に今回のピーク電力引き上げを合わせて読んだものである。