107 vs 62
Steve Hanke (@steve_hanke) · 2026-08-12 · 原文: EN

88.6%、83.1%、そして62.0%

S
Steve Hanke@steve_hanke

#IranWatch🇮🇷: Today, I measure Iran’s inflation at a PUNISHING 107%/yr.

That's the WORLD’S 2ND HIGHEST rate, only behind Venezuela.

I REMAIN THE ONLY ACCURATE SOURCE FOR INFLATION MEASUREMENTS IN IRAN AND VENEZUELA.

同じ国の同じ物価をめぐって、四つの数字が出回っている。

ハンケの測定107%
統計センター 前年同月比88.6%
中央銀行 前年同月比83.1%
統計センター 12カ月平均62.0%

真ん中の二つは先月を1年前の同じ月と比べた値、いちばん下は12カ月平均どうしを比べた値である。いちばん上は為替から逆算した推計で、計算方法そのものが違う。

イラン統計センター・イラン中央銀行(2026年5月22日〜6月21日)、ハンケの数値は2026-08-12の投稿、2026-08-12閲覧

同じ政府、二つの機関、四つの数字

イランには物価を測る機関が二つある。 イラン統計センターとイラン中央銀行が、それぞれ調査してそれぞれ発表する。

ユーロニュースは二つの機関の違いをこう整理する。 家計が何を買うかを写し取った品目のかごが互いに違い、 品目ごとに与える重みが違い、 価格をどこでどう集めるかも違う。 その結果、年ベースで4.3ポイント、前年同月比ベースで5.5ポイントの差が開く。

前年同月比と12カ月平均は別の問いだ

統計センターが同じ発表で二つの数字を並べたのは、手違いではない。 二つの数字が別の問いに答えているからだ。 高いほうは先月の値を1年前の同じ月と比べたものである。 いま物価がどれだけ速く上がっているかを見る。 低いほうは直近12カ月の平均を、その前の12カ月の平均と比べたものである。 1年で家計がどれだけ重くなったかを見る。 分かりやすく言えば、前者は速度計で、後者は走行距離計だ。 速度を上げてまだ間もなければ、速度計はすでに高いのに走行距離計はまだ低い。 イランのように昨冬から物価が急に上がった国では、二つの数字が大きく開くほうがむしろ普通である。 ハンケ教授の数字は、三つのどれでもない。 彼は闇市場の為替レートを毎日取り、購買力平価で物価水準へ逆算する方法をとる。 通貨価値が崩れる国では、政府統計よりこちらが速いというのが彼の主張だ。

公式統計を信用しない読み

補助金のついた価格と統制された為替が指数に入っており、発表される数字は実際の生活物価を低く見積もる。

VS
為替換算を信用しない読み

市場為替から逆算する方法は、通貨が崩れる局面で物価より先に、より大きく動く。

二つの読みが争っているのは物価の高低ではなく、何を物価と呼ぶかである。

イラン統計センターの次の発表

では、この四つのうち投資家はどれを見ればよいのか。 答えは何を知りたいかによって変わる。 原油を運ぶ船と制裁交渉の行方を見る側なら、政府がどれだけ持ちこたえられるかが知りたいはずで、そのときは12カ月平均が合う。 いまこの国の中で何が起きているかを見る側なら、前年同月比が合う。 一つの数字だけ選んで残りを間違いだと言った瞬間、三つの別々の問いを一つに潰したことになる。

3行まとめ
  • ジョンズ・ホプキンス大のスティーブ・ハンケ教授が、イランの物価上昇率を年107%と測定したと述べた。
  • イラン政府が出す数字よりはるかに高く、公式統計は信用できないという話に読める。
  • だがイラン政府の中でも数字は一つではない。統計センターは同じ月について二つの上昇率を並べて発表し、中央銀行はさらに別の二つを出した。何を何と比べるかがそれぞれ違うからだ。

採点予定採点待ち

指標
イラン統計センター発表の前年同月比物価上昇率
現在
88.6%(2026年5月22日〜6月21日)
採点日
2026年9月(イラン暦5月分の発表)
的中
88.6%超、物価はさらに速まった
外れ
88.6%以下、6月が天井だった

出典

  1. 原文 スティーブ・ハンケ (@steve_hanke)、イランの物価を年107%と測定、2026-08-12
  2. 報道 新華社英語版、イラン統計センター発表の前年同月比88.6%と12カ月62%、2026-06-28
  3. 報道 ユーロニュース、統計センターと中央銀行の数値の差とその理由、2026-06-30

2026-08-12閲覧。イラン統計センターと中央銀行の数値はイラン暦3月(2026年5月22日〜6月21日)が対象で、その後の2カ月分は本カード作成時点で英語メディアでは確認できなかった。ハンケ教授の107%は2026-08-12の投稿の値であり、基準時点が異なる。同じ月どうしの比較ではない点を踏まえて読む必要がある。

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