台湾のグローバルウェーハズは、シリコンウェハー不足を正式に認めた。
4日の第2四半期決算説明会で、グローバルウェーハズは半導体ウェハー産業の需給不均衡がすでに進行中だと述べた。
台湾のグローバルウェーハズは8月4日の2Q決算説明会で、 シリコンウェハー不足がすでに始まったと確認した。 12インチ・8インチ・6インチの全生産ラインが事実上、最大稼働率に達しており、 一部の先端12インチ製品では供給制約がすでに生じているという。
グローバルウェーハズ、12インチウェハーの供給制約を警告 (ザ・エレック, 2026-08-06)この不足は、AI半導体、HBM(広帯域幅メモリー)、シリコンフォトニクス、 先端パッケージングの需要が一度に重なって生まれた。 半導体を作るには、その土台となる薄いシリコン基板、 ウェハーがまず必要だが、その基板自体が足りていない。 ドイツのジルトロニックも7月30日の決算説明会で、顧客在庫が正常化し、 安全在庫の再構築が始まったと述べた。 日本の信越化学は7月24日の決算で、300mmウェハーの出荷量が 前年比・前四半期比ともに2桁増だったと発表した。 韓国のSKシルトロンも新設備を段階的に稼働させているが、 受注の伸びに供給能力の拡大が追いついていないという。 競合関係にある3か国の企業が、同じ四半期に同じことを言っている点が、 この兆候を偶然ではなく構造として見せている。
ウェハーメーカーが顧客と結ぶ長期供給契約(LTA)の性格が変わりつつある。 かつては安定した数量確保が目的だったが、 今は不足が来る前に生産能力を先取りする側面が強い。 契約期間もこれまでの3年前後から5~8年へと伸びている。 先月、グローバルウェーハズはメモリーメーカーのマイクロンと 10年間の長期供給契約を結んだ。ウェハー業界で最長の契約だ。 契約には5億ドルを超える前払い性の資金支援が含まれており、 これがグローバルウェーハズのテキサス工場フェーズ2拡張の後押しとなった。 信越化学は現在、300mmウェハーの全量を長期契約で供給しており、 ジルトロニックも数量の3分の2がこの方式だ。
イタリア・ノヴァラ工場で火災、8インチ後工程ラインが損傷
信越化学、300mmウェハー出荷が前年比2桁増と発表
ジルトロニック、顧客在庫の正常化と安全在庫の再構築を発表
グローバルウェーハズ、2Q決算説明会で供給不足の進行を確認
4社が同じ3週間の間に同じ方向の兆候を示した。
各社決算発表・開示資料(2026年7-8月)
だが、この不足という筋書きには決算の数字だけでは説明できない穴がある。 グローバルウェーハズの2Q売上総利益率は20.7%で、 前年から5.5ポイント低下した。 旧来の低価格契約、新工場の立ち上げコスト、 テキサス工場の減価償却開始が重なった結果だ。 供給が本当に逼迫しているなら価格決定力は同社側に移るはずだが、 収益性の数字にはまだその力がはっきり表れていない。
グローバルウェーハズ、2Q売上高は前四半期比8.8%増の152億台湾ドル、ただしノヴァラ火災が3Qの重荷に (ビッゴー・ファイナンス, 2026-08-04)もう一つ変数がある。7月20日にイタリア・ノヴァラ工場で火災が発生し、 8インチ後工程ラインが損傷した。 エピタキシャル(ウェハー表面に薄膜を形成する工程)生産は 8月中旬に再開予定だが、この事故で3Q生産には支障が出る見通しだ。 事故後、同社は通期売上高見通しを 「前年並みかやや上回る水準」に引き下げた。 不足だと言いながら、なぜ通期見通しはむしろ下げたのか。 一過性の火災が、不足がもたらすはずの値上がり分を 3四半期の間隠していると見る方が筋が通る。 不足という筋書きが正しければ、信越化学・SUMCO・ジルトロニック・ SKシルトロン・グローバルウェーハズといったウェハー供給企業への 価格決定力の構造的シフトを意味する。ウェハーは半導体コスト構造の 最下層にあり、そこの価格が上がれば、その上に積み上がる すべてのチップ価格に影響が及ぶ。 ただし今四半期の数字は一過性の事象で濁っている。 注目すべきは下半期のスポット価格だ。 グローバルウェーハズは下半期のスポット価格が上半期を 上回るとの見通しを示している。 11月の3Q決算説明会でその見通しが数字で確認されれば、 不足という筋書きは火災という雑音を乗り越えて的中したことになる。 確認されなければ、ノヴァラ火災は今四半期の業績を 覆い隠しただけの出来事だったということになる。
2026-08-06時点 · グローバルウェーハズ2026年2Q決算説明会(2026-08-04)および直後の報道に基づく