アマゾン、メタ、アルファベット、マイクロソフトが2026年の設備投資見通しを合計で約7,200億~7,450億ドルと案内した。直前の6,950億~7,250億ドルから引き上げられている。
ただ中長期で見ると、上流の半導体や新興クラウドを弱気に見られる根拠がうまく思い浮かばない。
変曲の時期が来て設備投資が彼らの財務諸表に流れ込めば、値は付け直される。
アマゾン、アルファベット、メタ、マイクロソフトの4社が今年投じるとした設備投資は、合計で7,200億~7,450億ドルになった。 直前の案内は6,950億~7,250億ドルだったので、決算を経てもう一段引き上げられたことになる。 会社別ではアマゾン2,200億ドル、アルファベット1,950億~2,050億ドル、マイクロソフト1,750億ドル、メタ1,300億~1,450億ドルだ。
トムズハードウェアは4月の時点ですでに今年の合計を7,250億ドルと見て、昨年の4,100億ドルから77%増だと伝えていた。 1年で規模がほぼ倍になったということだ。
設備投資は、データセンターとその中に入るものを買うために使われる。 チップ、サーバー、ネットワーク機器、そしてそれらを動かす電力設備だ。 原文が指しているのは、この資金が通り抜ける場所のほうだ。 リン化インジウム基板やメモリのように、これまで安物の部材として扱われてきたものに数兆ドルが流れ込めば、それを作る会社の値段は付け直される。 この数年のエヌビディアのグラフィックスチップがそうであり、今年はメモリがそうだった、というのが原文の観察だ。 次はプロセッサーと積層セラミックコンデンサー、2027年には光通信部品とガラス基板を挙げる。
ここから、決算説明会にはなかった話が始まる。
AI設備投資がキャッシュフローを上回り、ハイパースケーラーが外部資金に頼り始めた (ファクトセット, 2026-07-23)ファクトセットは、5社の今期の設備投資合計が6,900億ドルを超え、増加率は前年比80%超でこの循環で最大だと伝えた。 そのうえで、アルファベットとマイクロソフトを除く各社は、今期のフリーキャッシュフローがゼロに近づくかマイナスに転じると見ている。 フリーキャッシュフローは、営業で稼いだ現金から設備投資を引いて残る資金だ。 これがマイナスということは、稼いだ以上に使っていて、その差をどこかから持ってこなければならないという意味になる。 実際にそうしている。 アルファベットは6月に847億5,000万ドルの株式を新たに発行し、アマゾンは250億ドルの社債を出した。 設備投資を賄うために新たに出した借入の割合は2024年度の9%から今年半ばには32%へ上がり、5社の総負債は約7,000億ドルに達した。 S&Pは7月にオラクルの格付けをBBB-へ引き下げ、設備投資の急増とマイナスのフリーキャッシュフロー、顧客の偏りを理由に挙げた。
資金が集まれば、安物扱いされてきた部材は評価し直される。上流の半導体や新興クラウドを弱気に見る理由は乏しい。
その資金の3分の1は借りた金だ。評価し直しが続くには、業績ではなく信用市場が開き続けている必要がある。
同じ数字でも、どこを見るかで読みが割れる。支出の大きさを見れば需要の証拠であり、支出の出どころを見れば信用の問題になる。
結局、問いは一つだ。 この支出が稼いだ資金で賄える投資なのか、信用市場が開いている間だけ続く投資なのか。 見分ける場所は調達の方法だ。 次の四半期も設備投資が増える一方で社債発行や増資が減るなら、営業で稼いだ資金が支出に追いついているということになる。 設備投資と調達がそろって増えるなら、上流部材の評価し直しは各社の業績ではなく信用市場の状態に結びついていることになる。 部材メーカーの受注が厚くなっているのは事実だ。 ただ、その受注を埋める資金の3分の1が借りた金であるなら、受注を見るときに顧客の損益計算書だけを見ていては足りない。
採点待ち第3四半期の決算で4社の設備投資と資金調達を合わせて見る。設備投資が増える一方で社債発行と増資が縮めば営業キャッシュが支出に追いついたとし、両方が同時に増えれば信用への依存が深まったと採点する。